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イベントレポート
中部管内で仕事人と生産者の交流会を開催しました
公開日:2024.07.08
ふじのくに食の都づくり仕事人と生産者の交流として、生産者の圃場訪問を実施しました。
これは、令和4年度に、料理人と生産者が直接意見を交わす初めての取組みとして、生産農家10人と仕事人との意見交換会が実施された中で、仕事人、生産者双方から圃場見学を望む声を汲み、令和5年度に開催しました。参加した仕事人は、清水区で活躍する「ホテルクエスト清水」料理長の青木一敏氏と葵区で活躍する「府中かしわで」代表の市川岩生氏の2人で、青木氏の要望により、地元の「折戸なす」、「レッドオーレ」、「枝豆」の圃場を訪問することとしました。
JA清水三保営業拠点の協力を得て訪問先を決め、収穫期を考慮し、10月初旬にそれぞれの圃場を訪問し、生産者と「生産」と「流通・消費」について意見交換を行いました。
【折戸なす】
もともと生産者・生産量も少なく、主として東京に出荷し、静岡での販売は3割くらいとの話しがありました。規格外品も3~4個くらいを袋にして出荷しており欲しい場合はJAを通じて購入できるそうです。
収穫後の枝葉を次の播種のため伐採し肥料に利用するなど資源の再利用や、栽培技術の向上にも努めておられるなど、生産への意欲も高い方でしたが、やはり後継者不足が課題とのことでした。
仕事人からは、一般の方に普通のなすと折戸なすの違いが伝わっていない点を指摘し、もっと折戸なすを知ってもらう取組み、例えば子どもたちや農業を知らない人向けの農業体験会などのイベントを開いてはどうか、徳川家康も愛した地元食材であることもアピールポイントになるのでは、との意見がありました。
【レッドオーレ】
生産者のお話では、一般的には9~6月頃が出荷時期で、2月に種まき、収穫は8月以降だそうです。
レッドオーレは甘みの強さが特徴ですが、品種は普通の中玉トマトで、甘さを出すため、水の絞り方で調整しているとのことでした。砂地だけに水加減の苦労も多く、令和5年は猛暑で収量も少なく苦労されたそうです。もう一つの特徴は完熟で出荷する点で、熟す前に出荷する大玉との大きな違いです。出荷はJAを通したり、個人での販売もあるが、出荷サイズは5㎝弱のもので、それ以上、以下ではだめという厳しい基準があるそうです。
出荷先は、7~8割が東京で、自家売りはしずてつストアやマックスバリューなどだそうです。仕事人から出荷できない分の取扱いに関して質問があり、生産者からは水割れして出荷できないものは知り合いに安く譲っているとのことでした。
【枝豆】
基本は通年栽培で価格は夏より冬場の方が高いけれど、令和5年は、夏の猛暑で虫が大量発生して苦労したことや、冬場は、ハウス内を常に30度に保つために掛かる燃料費の高騰でとても採算がとれないため冬場の生産は止めようか考えているとの厳しい意見も聞くことができました。
仕事人から、一さやにできる豆の数や植えている枝豆の種類について質問があり、温度が高いと数が多くなること、今は茶豆(風)が豆の風味が強く人気があるとの回答をいただきました。
出荷先は東京が7割でほかに名古屋にも出しているとのことでした。
また、生産農家の最大の課題は生産コストで、家庭経営なら人件費はかからないが、規模を増やしてパートを雇っているところは、市場価格の上下で収入が安定せず、経済的負担が重いときもあるため、やはり地元で安定的に使ってもらうことを望まれていることを伺うことができました。
今後は、地元食材を地元で消費する仕組みを模索しつつ、本県の食文化のさらなる醸成と地域振興に役立てていきたいと考えています。