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浜名湖の魅力を探る: 日本で最長周囲長の汽水湖で育まれる魚介と伝統水産業

公開日:2024.12.17

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静岡県西部の浜松市と湖西市にかけて広がる浜名湖。日本で10番目に大きい湖であり、汽水湖※としては日本最長周囲長を誇るこの湖は、その特異な環境ゆえに豊富な水産資源に恵まれてきました。今回は、そんな浜名湖で水産業に携わる人々を訪ね、その魅力をお聞きしました。

 

※汽水湖…淡水と海水が混ざり合った湖

 

 

「いいね!1169! 海老仙!」

早朝7時。浜名湖雄踏市場に競り人の声が響き渡ります。市場には水揚げされたばかりの魚介類がカゴに入れて並べられ、順番に競りが行われていきます。この日揚がったのは、スズキやヒラメ、クマエビ、ガザミなど多種多様。仲買人たちが屋号※の印が入った紙札に希望する金額を書き込んで競り人に渡すと、最高額をつけた仲買人の屋号と金額が読み上げられ、競り落とされます。

 

※屋号…商売をする際の名前や看板のこと

 

 

シンコ、コハダ、コノシロと成長するにつれて名前が変わる出世魚のコノシロ。寿司ネタに使われることが多い魚です。

 

 

成長すると1メートルを超えるスズキは、釣り人の間ではシーバスと呼ばれる人気の高い魚。

 

 

 

浜名湖はエビ類の生息にも適しており、クルマエビをはじめ、ヨシエビ、クマエビなどさまざまな種類のエビが獲れます。

 

「浜名湖には約600種類もの魚介類が生息すると言われています。その豊かさを生み出しているのが、明石山脈と木曽山脈に挟まれた都田川から流れてくる栄養を豊富に含んだ淡水と、遠州灘から流れ込んでくる海水が混じり合う汽水湖という環境です」そう語るのは、浜名湖の近くで100年以上にわたり魚介卸売業を営む「株式会社 海老仙」代表の加茂仙一郎さん。

 

 

浜名湖は平均水深が5メートルと浅いのが特徴。その環境を生かして、湖面に立てた杭に網をかけて魚を捕らえる「角立て網」と呼ばれる定置網漁が盛んに行われています。また、牡蠣や海苔の養殖も古くから行われてきました。

 

 

浜名湖には、「たきや漁」という伝統的な漁法も伝わっています。夜の浜名湖に船を出し、灯りで水中を照らして湖底にいるエビ・カニや魚をモリで突いたり、網ですくったりして捕まえるというもの。水深が浅く、湖底まで見通せる浜名湖ならではの漁法です。夏の時期にはツアーも開催されており、「たきや漁」を実際に体験することもできます。

 

 

「浜名湖といえば忘れてはならないのがウナギの養殖です。浜名湖は日本のウナギ養殖の発祥の地で、その歴史は明治20年代に遡ります。ウナギの稚魚であるシラスウナギは、太平洋で生まれて川を遡上します。養殖する際には、それを採取して大きく育て上げるのですが、汽水湖である浜名湖にはシラスウナギが多く集まってくるのです。また、かつてはシラスウナギの餌として、カイコの繭から糸をとり終えたサナギを使っており、浜名湖周辺は養蚕業が盛んだったこともあり、餌を入手しやすかったのです。そうしたメリットもあり、現在も浜名湖周辺ではウナギ養殖が盛んに行われています」と話します。

 
 
 

海老仙でもウナギの養殖を手がけています。天竜川の綺麗な伏流水をたっぷり使って養殖できるのも大きなメリット。近年は、浜名湖養魚漁業協同組合により「浜名湖うなぎ」のブランド化が進み、トレーサビリティシステム※が構築されており、そこから安心・安全なウナギを仕入れ、提供しています。

 

 

※トレーサビリティシステム…製品の生産から消費までの過程を追跡・記録できる仕組み

 

 

「海老仙」の本社には直売所があり、自社で加工した浜名湖産のウナギの蒲焼や白焼を販売しています。蒲焼を鰻丼にして食べてみましたが、脂がのって身は柔らかく、まさに絶品です。

 

 

 

「浜名湖産の魚介は本当に美味しいんです。汽水湖はプランクトンが多く発生するため、それらを魚介類がたっぷり食べ、甘みと旨みが詰まった濃厚な味わいになるからです。そんな浜名湖の魚介を使った料理を多くの人に美味しく味わってもらい、卸先の飲食店には繁盛してもらう。そうしてみんなに喜んでもらうことが私たちの理想です」(加茂さん)。

 

 

現在は「春から初夏の遠州灘天然ハモ」、「夏の浜名湖うなぎ」、「秋から冬の遠州灘天然トラフグ」、「冬の浜名湖牡蛎(カキ)」1年中いつでも遠州灘・浜名湖の魅力ある水産物を消費者に提供できるよう、地元のかんざんじ温泉事業協同組合を通して、地域の宿泊施設や飲食店に販売しています。

是非、浜名湖周辺地域の宿泊施設や飲食店でお楽しみください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

#浜松市