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静岡産の新しい活用方法?!地元産を静岡地酒全種とともに楽しめる【侘寂 -wasabi-】

公開日:2023.03.31

和食

特集

静岡ならでは!の食材を使った、驚きのメニューを提供する名店をご紹介するシリーズ。

今回は菊川市にある、居酒屋感覚の日本料理店「侘寂 -wasabi-」の料理をご紹介。「侘寂 -wasabi-」では、静岡の地酒や地元名物の数々が堪能できるとあって、地元客を中心に連日にぎわっています。


なかでも人気なのは「お茶の手羽先揚げ」。"お茶を使った"と聞くと、どんなものだろうと想像しますが、見た目は一見、ほかと変わりない手羽先揚げ。実は仕込みの段階で、菊川産の「深蒸し茶」を使用しているといいます。地元のお茶屋から仕入れている粉末状の濃厚な深蒸し茶。これで手羽先を揉むように洗うことにより、鶏の臭みがなくなる上、お茶の成分との相乗効果で、旨味がアップするそうです。

「深蒸し茶は、実は菊川が発祥なんです。少しでもそのことを広める機会になればと思い、この料理を考案しました」と店主の寺澤さんは話します。出来上がりはサクサクふわふわ。甘みのあるタレがよく絡み、クセになります。よくある"お茶味"ではなく、よりおいしく味わうための隠し技。こういった贅沢なお茶の使い方ができるのも静岡ならではですね。


「侘寂 -wasabi-」で味わえる人気料理のうち、珍しいものがジビエ。寺澤さんは猟師免許を取得しているといいます。この日は知り合いのハンターが、菊川で捕獲してきたイノシシ肉が登場。「柔らか煮」や「ロースト」など、肉の状態などに合わせ、ベストな調理法で提供しています。

「ジビエというとまだまだ苦手という人も多いと思います。ただ、地元で獲れたものはそういったイメージを変えられる可能性を秘めていると思うんです」

イノシシは、もともとは害獣扱いされているもの。撃たれてそのまま処分されていると聞き、どうにかそれを利用できないかと考えたそうです。

「今もなお、加工や流通の課題が多く、まだまだ一般的にはなっていません。正しい知識を持った人がきちんと処理をすることで、牛や豚にも引けを取らない旨さがある。命をいただく以上、責任をもってこれからも提供していきたいです」と寺澤さんは話します。


また、「侘寂 -wasabi-」で扱う地酒はすべて静岡のもの。県内にある全酒蔵・27種をそろえ、季節に合わせたものを用意しています。全国的にみて、静岡は水と酵母の品質が良いため、地酒が盛んになったと言われていますが、寺澤さんは県内のなかでも、天竜川・大井川・富士川を境に、味の特徴に違いがあるのではと話します。

「菊川市・森本酒造の『小夜衣(さよごろも)』は、やわらかな味が特長。大井川近辺の地酒は同様にまろやかなおいしさがあると思います。天竜川や富士川は、逆にキリッとした辛さ。"静岡の水"といっても、それぞれ違いがあるからこそ、料理とのペアリングや、東・中・西部の飲み比べなど、楽しみ方の幅は広がりますね」


もともと旧・相良町(現・牧之原市)出身の寺澤さん。板前として県内で活躍し、ときにはコンビニの商品開発に携わったことも。その経験を活かし、奥さまの地元である菊川市でお店をオープンさせました。

食材の仕入れはほとんどが地元。魚介類は御前崎市の魚市場に出向いたり、野菜類は農協や地元農家から直接仕入れたりしているそうです。「静岡産の魅力は、フレッシュな食材が手に入るほか、生産者の情報もわかりやすい。『◯◯さんの野菜だ』と手に取ることもあります。生産者の顔を想像しながら料理をつくることができるのもよい点だと思います」と話してくれました。

定番から珍しい静岡産まで。幅広い静岡の楽しさを、地酒と一緒に味わってみてはいかがでしょうか。

■店舗情報
侘寂 -wasabi-
住所:静岡県菊川市半済1741−3
電話番号:0537-36-3636
HP:https://wasabi363636.shopinfo.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/wasabi363636/

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