静岡の食文化を知る

東部

静岡から全国へ。まだ見ぬ地元の魅力がぎゅっとつまったカヌレ【フランス菓子 カヌレ専門店 NANA-Canele (ななカヌレ)】

公開日:2023.03.31

菓子・スイーツ

特集

静岡ならでは!の食材を使った、驚きのメニューを提供する名店をご紹介するシリーズ。

今回は、人気再燃中の「カヌレ」に、静岡県食材を使っているお店をご紹介します。

カヌレとは、牛乳やバター、砂糖、薄力粉、卵などを「カヌレ型」に入れてオープンで焼き上げる、本来シンプルで素朴なフランスの伝統菓子。表面はカリッ、中はしっとり、というのが特徴です。そんなカヌレに地元食材をかけ合わせ、新たな魅力をつくりだしたのが「NANA-Canele (ななカヌレ)」です。


「NANA-Canele (ななカヌレ)」では、研究を重ねて完成した20種のフレーバーのうち、毎日7種がランダムで登場します。そのなかでも特におもしろいコラボレーションは、沼津市にある「高嶋酒造」のつくる地酒「白隠正宗(はくいんまさむね)」の甘酒をつかったカヌレ。この地酒の糀(こうじ)と水のみでつくられた甘酒を生地に練り込み、独特の香りと甘みを醸し出しています。




店舗を立ち上げた花井さんは大のカヌレ好きで、全国のカヌレを食べているとのこと。一方、アルコールは苦手で、これまで敬遠していたそうですが、カヌレを研究するなかで甘酒がマッチするのでは、と静岡の地酒に着目。この「白隠正宗」の甘酒だけはおいしく飲めたということで、商品化したそうです。

「この『白隠正宗の甘酒』のカヌレをきっかけに、白隠正宗を知ってくれたり、実際に甘酒を購入したという声を聞いたりしました。そんなお客さまがいるからこそ、また新しいフレーバーやコラボレーションのアイディアが湧いてきますね」と花井さんは話します。






そのほか、「NANA-Canele (ななカヌレ)」では、フルーツを使ったフレーバーも人気。「いちごのカヌレ」には、伊豆の国市にある「松下農園」の「紅ほっぺ」を、「ブルーベリーのカヌレ」には、裾野市で「Blueberry Cafe 和(なごみ)」も営む大庭さんのブルーベリーを使用。それぞれ、花井さん自身が摘みに行き、採ってきたものを店舗でジャムにしています。

ほかにも、フレッシュでフルーティーな甘みが特長の「寿太郎(じゅたろう)みかん」は、契約農家から仕入れ、マーマレードに加工。いずれも生地自体にペーストを練り込むことで、フルーツの味わいを感じるカヌレに仕上げています。


実は、カヌレは成功率の低いお菓子なのだそう。その日の気温・湿度や、オーブンの温度、使用する型の状態で大きく仕上がりが左右されるため、オープン当初は、100個つくっても、店頭に出せるクオリティのものが数個だけだった、ということもあったそうです。

「ななカヌレでは、20種類すべての生地に異なる食材を練り込んでいます。その食材の分量だけでなく、水分や成分も2つとして同じものはなく、レシピ通りつくってもうまくいかない日もある。ただ、カヌレの上に静岡食材をのせるだけという、"写真映え"重視のものにはしたくなかったんです。"流行っているカヌレ"ではなく、"ここに来たらコレ"という定番の味をつくりたかった。全国のカヌレを食べ歩いたなかでやっぱり感じた、静岡食材のおいしさ。これをずっと表現していきたいんです」。

今では全国から注文がくるという「NANA-Canele (ななカヌレ)」。予約販売のほか、イベント限定のフレーバーをつくったり、地元企業とコラボしてオリジナルカヌレをつくったり、地元との関わりも積極的に持つようにしているそうです。

ちなみに、牛乳や卵も静岡食材を使用した新商品も開発中とのこと。カヌレというお菓子の中にぎゅっとつまった静岡の可能性に、今後も注目したいですね。



■店舗情報
フランス菓子 カヌレ専門店 NANA-Canelé (ななカヌレ)
住所:静岡県駿東郡清水町柿田136−47
電話番号:055-918-8670
HP:https://coubic.com/nana-canele
Instagram:https://www.instagram.com/nanacanele/

#清水町