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【The 仕事人 of the year 2020の受賞者のご紹介】白鳥 嘉宏さん
「私にとって料理とは自然を大切にすること」。こう語るのは静岡市街の名店「ルモンドふじがや」創業者の白鳥嘉宏さん。料理の素材は農家が自然と折り合い、苦労を重ねて作ったもの。「こねくり回さないこと」と説く。玉ねぎにせよジャガイモにせよ、それぞれに土地特有の味がある。いかに引き出してあげるか。だから、白鳥さんのステーキは胡椒さえ必要最小限しか使わない。週2,3回、朝早く市場に足を運び、活きのよい魚介を仕入れていること、遠州森町から「静岡きぬむすめ」を玄米で仕入れ、自家精米して炊いていることからも素材への強い想いが窺える。地産地消が叫ばれる以前から、白鳥さんは「地のもの」にこだわってきた。その代表格がお茶。県産の煎茶の旨みを濃厚に抽出し、ソースのベースに使っている。それをフレンチの基礎となる魚のだし「フュメ・ド・ポアソン」や鶏ガラのだし「フォン・ド・ヴォライユ」と合わせ、スープに活かしたり、パスタ生地に練り込んだりもする。店の代表を譲った娘さんの智香子さんから「茶草場(ちゃぐさば)農法」の視察に誘われたときも、自然の中に身を置き、土や緑に触れ、大好きな静岡茶の世界農業遺産を目の当たりにできることに一も二もなく同意した。今や世界共通語となった「omotenashi」も創業時から変わらない。「地のもの」は何よりのもてなしとなり、お茶は心を和らげる。この心を忘れず、国内外のお客様に至福の時間を届けるため「自然体で鉄板の前に立ち、魂を込めている」。料理に情熱を傾け続けられるのは、もっと美味しくしたいから。そして、お客様の素敵な笑顔に出会いたいから。「けれど、いつまでたっても理想にたどり着けない」と笑う。静岡食材を使った人気メニュー鉄板焼 ようこそ静岡お茶コース、駿河シャモの鉄板焼 静岡みかんと赤ワインの2色ソース 静岡の春野菜を添えて、海の幸サラダ、ブイヤベース などこの店で使っている静岡食材黒毛和牛・和牛(静岡県)、駿河シャモ(静岡市)、鯛・鰤・太刀魚・鱸・イサキ・活平目・コチ・紋甲イカなどの魚(駿河湾)、鮑(伊豆)、お茶・和紅茶(静岡県)、抹茶ジェラート(藤枝市)、山葵・きゅうり・大根・トマト・みかん・しめじ・人参・白菜・苺などの野菜(静岡県)、原木椎茸(島田市川根町・静岡市梅ケ島)、タケノコ(藤枝市岡部)、青海苔(浜名湖)、米(周智郡森町) など

仕事人
白鳥 嘉宏
ステーキ&欧風料理 ルモンドふじがや
「ルモンドふじがや」の創業者でオーナーシェフ。静岡市出身。国際観光レストラン協会認定国際調理師。静岡新聞・静岡放送記者、読売新聞記者を経てホテル事業に転身。昭和42年「ステーキレストランふじがや」を創業し独立。以来50年以上にわたり鉄板焼や欧風料理の魅力を伝えている。「鉄板焼は急がずゆっくりと火を入れるもの。焼き上がりまではお客さんと会話している。話題豊富であるよう教養、人柄もさらに磨いてゆきたい」。早期から地産地消に尽力するなど、県の農林水産業や食文化振興への貢献が認められ、2010年「ふじのくに食の都づくり仕事人」の表彰を受けている。
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2021年秋、島田市川根町で静岡県茶業会議所が主催したティーペアリングイベントに参加。嘉宏さんはご当地産椎茸を使った料理を、娘さんの智香子さんは川根茶のペアリングデザートを振る舞った。