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【ふじのくに食の都づくり仕事人】 仕事人令和3年度受賞者 中西 大悟さん
チャーミングな練り切りに大胆なフルーツ大福、変幻自在のクリームどら焼きなど、中西大悟さんが生み出すのは、柔軟で先進的な「ヌーベル和菓子」。それがケレンでないのは、和菓子の神髄である「あん」は、最高級の北海道産小豆を炊いて「粒」も「こし」も仕上げ、寒天は土肥産の天草を煮出して作るなど、厳選素材から手作りする妥協なき職人仕事に表れる。「可能なら全部県産食材を使いたい」という中西さんは、基本素材にも戸田塩や静岡抹茶、丹那牛乳などを取り入れ、季節の主役には地元自慢の果実を使う。特に冬~春の花形は、沼津の西浦みかんと韮山神田農園直送の紅ほっぺいちごだ。名物のフルーツ大福の中でも、丸ごと1個を包む西浦みかんの存在感は圧倒的。定番のいちご大福も時期に応じて豆大福仕立てや特大サイズなど様々な形で楽しませる。一方で、中西さんの真骨頂とも言えるのが、練り切りだ。特に、年中行事にちなんだモチーフなどのオリジナル練り切りは、どれも愛らしくて心が弾む。「私のお菓子で家庭に笑顔が生まれたら最高です」と笑う仕事人は、格式高い和菓子の門を楽しく広げている。
静岡食材を使った人気メニュー
みやこどら焼き 200円
季節の練切り 270円~
紅ほっぺいちごミルクかき氷 850円(甘味処で提供)
この店で使っている静岡食材
西浦みかん〈寿太郎ほか〉・西浦レモン(沼津市)、紅ほっぺいちご(伊豆の国市)、戸田塩(沼津市)、抹茶・ほうじ茶・煎茶(静岡県産)、天草(沼津市土肥)、卵(富士市)、丹那牛乳(函南町)など

仕事人
中西 大悟
季節の和菓子 みやこ庵
沼津市出身。母子家庭で育ち、和菓子職人だった祖父の影響で同じ道を志す。高校卒業後に日本菓子専門学校へ通い、2軒の和菓子店で修業。「自分が作りたいお菓子を作る」ため、2014年、40歳の時に独立。祖母の名を屋号にした「みやこ庵」をオープンした。さらに2019年には奥隣に甘味処を開店。夏はいちごなど生フルーツから作る自家製コンポートとシロップが自慢のかき氷が人気を博す。全国和菓子協会優秀和菓子職認定者で、確かな技術と柔軟な発想力から、サントムーンエネリア和菓子講座講師や横浜国際フード製菓専門学校の和菓子講師なども務める。
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季節のフルーツ大福から、「西浦みかん大福(寿太郎)」250円。みかんの品種は時期によって異なる。驚くほど滑らかで柔らかい羽二重餅と白あん、フレッシュみかんのバランスとハーモニーが見事な逸品。凍らせて食べるのもおススメだ。

「和菓子の格式高いイメージを壊したい」という中西さんのキュートなお菓子が並ぶ店内は、ほっこりと温かな雰囲気。同じ種類の菓子でも、季節で次々にバージョン違いが登場するので、定期的に通いたくなる。