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The 仕事人 of the year 2022 受賞者のご紹介「保科 祐司さん」
早くから静岡県産食材に着目し、積極的に取り入れてきた日本料理「花凜」。2018年より料理長を務める保科祐司さんも、野菜の種類が日本一豊富なことに目を細める。「産地が近いため鮮度が保たれる」ことも見逃せない。例えば、家康公が好んだ清水の折戸なすは、一富士二鷹三茄子のナスであるが、京都の賀茂なすと比べて味に遜色はなく、「茄子紺の鮮やかな色・ツヤが流通過程で失われず、使いやすい」と語る。同じことは葉物野菜でさらに顕著だという。食材の宝庫の地で腕を振るえることに感謝し、「地産地消にいっそう励みたい」との思いを強くしている。
いつも穏やかな保科さんだが、新しいことへの挑戦は人一倍意欲的だ。聖隷福祉事業団の管理栄養士と知恵を出し合い、「美味しい健康メニュー」を完成させたのもその一例。口取、焚き合わせ、揚物、御飯、椀盛に水菓子まで付くコース仕立てにかかわらず、低カロリー(646kcal)、高たんぱく(33.1g)、低塩分(2.9g)のお弁当に仕上げた。一方で、静岡市清水区のこどもクリエイティブタウン「ま・あ・る」でカリフォルニアロール、静岡県の「WAZAチャレンジ」で玉子焼きなどのつくり方を子どもたちに指導してきた。「もっと和食に興味を持ってほしいから」と願う気持ちが活動の原動力。
厨房仕事の合間を縫って店内に足を運ぶと「私は保科料理長のファン」と笑顔で応えてくれる人も。食材選びから始まり、それぞれの香りや色を損なわず、ほんの少しの加減によって持ち味を豊かに引き出す日本料理。「何よりも生産者の皆さんの頑張りがあってこそ」と襟を正し、「今後は産地と交流する機会を増やしていきたいですね」と前を向く。ふじのくにを舞台に、保科さんの和食一筋の道は続く。
静岡食材を使った人気メニュー
ふじのくに食の都「仕事人会席」(期間限定)、焼津港・小川港水揚げのおすすめ造り、しずおか葵会席 など
この店で使っている静岡食材
南鮪・駿河湾の地魚(焼津市)、用宗しらす(静岡市)、桜海老(静岡市)、静岡そだち(静岡市)、ふじのくにいきいき鶏(富士宮市)、美黄卵(静岡市)、久能葉生姜(静岡市)、折戸なす(静岡市)、紅ほっぺ(静岡市)、砂糖えんどう(袋井市)、筍(静岡市など)、青梗菜(浜松市)、姫みつば(浜松市)、お茶(静岡市) など

仕事人
保科 祐司
ホテルグランヒルズ静岡 日本料理「花凜」
富士宮市出身。調理師学校を卒業後、ホテル、旅館、料理店で修業を積む。2003年ホテルセンチュリー静岡に入社後、食の都づくり仕事人の先駆け、勝呂文洋総料理長のもとで技術を磨き、静岡県ふぐ処理師免許取得。2012年和食調理シェフ、2016年和食調理副料理長、2018年日本料理「花凜」料理長に就任。ホテルグランヒルズ静岡に名称変更後も第一線で包丁を握り続け、現在同ホテル和食統括料理長、静岡県ふぐ協会理事。2021年には静岡県技能士会連合会主催の大会で金賞(静岡県知事賞)に輝いた。2018年ふじのくに食の都づくり仕事人、2022年The仕事人of the yearの表彰を受ける。
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花凜特別会席

静岡県内産筍の焼物と焚き合わせ

小学校生徒にカリフォルニアロールの作り方を教える保科さん