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【The 仕事人 of the year 2021の受賞者のご紹介】菊地 隆雄さん
「守破離」を尊び静岡の和食発展に尽くすスーパーバイザーかつては伊豆の有名ホテルの総料理長を歴任し、現在各所で活躍する何人もの料理長の師匠でもある菊地隆雄さん。実は、日本料理にいち早く真空技術を取り入れ、調理法を確立した静岡の名工だ。病を乗り越え、今は牧水荘土肥館の板場でアドバイザーを務める傍ら、県専門調理師連合会「瑞松会」の相談役として、静岡の和食の発展と後進の育成に奔走している。特に、専門調理師技能検査の試験官も務めた菊地さんは、料理人歴が長くても基本ができない人が少なくない現状を見て、若手には「守破離」を大事にしてほしいという。これは修業過程の根本思想で、まずは師の教えや基本を習得する(守)ことから始まり、次に基本を踏まえた上で自分なりの工夫をし(破)、最終的には独自の新たなスタイルを確立する(離)ことを説く言葉。基本がない自分流では本物になれず、いずれ通用しなくなるからだ。一方、近年は自身でも野菜作りを始め、改めて「その土地で採れた季節の食材が体に良いという『身土不二』を実感する」と語る菊地さん。静岡の大御所は、今後も深い懐と見識で、和食と料理人の原点を伝え続けていく。静岡食材を使った人気メニュー潮騒膳(宿泊プラン)さざ波膳(宿泊プラン)金目鯛の姿煮 5,060円伊勢エビのお造り 6,325円この店で使っている静岡食材金目鯛・伊勢海老・アワビ・手長エビ・鰆・アジなどの地魚、地場野菜、コシヒカリ(静岡県)、ワサビ(伊豆市)など

仕事人
菊地 隆雄
牧水荘 土肥館
福島県会津出身。高校卒業後に和食の料理人を志し、伊豆へ。26歳で初めて料理長になり、修善寺「みゆきホテル」、「熱海ニューフジヤホテル」「かんぽの宿熱海」などの総料理長を歴任。定年退職後はオーナー料理人として熱川のホテルを請け負う。2010年、伊豆長岡に「四季彩きく地」を開店するも病を患い閉店。回復後はアドバイザーで「熱川プリンスホテル」に約3年、2020年11月から「牧水荘土肥館」に勤務する傍ら、県専門調理師連合会「瑞松会」及び県日本調理師技能士会の相談役を務める。静岡の名工、全国技能士連合会日本料理マイスター。趣味はゴルフと茶道。
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地魚のカルパッチョ風。この日は天然アジとトロマグロ、ソデイカにビーツやカリフラワーなど地野菜を添えて。みかん汁の爽やかなドレッシングが鮮度抜群の魚の旨さを引き立てる一品だ。器と盛り付け方で、同じ料理を和にも洋にも変化させる技とセンスも秀逸。

「自利利他」を信条に土肥館の若い衆を指導する菊地さん(右端)は、大御所を感じさせない気さくな人柄も魅力。左隣の高間尉次調理長も弟子の一人だ。