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【令和3年度仕事人受賞者のご紹介】吉野 一樹さん
「メゾン・ド・パティスリー・ヨシノ」の吉野一樹さんは、「もっといい食材」を常に探している。同店の一番人気は皿の上の組み合わせケーキ「アシェット・ガトー」。その主役の一つが苺だ。あえて複雑な味をケーキに与えず、主役と脇役を明確にすると、食べた人の印象に深く残る。吉野さんは「紅ほっぺ」を使う。生食で美味しい品種は多々あるが、甘味と酸味のバランスに優れ、その微かな酸味がケーキの中で存在感を発揮する。水分が他より少ないため美味しさが隠れず、他の材料と合わさっても味がボケることもない。
「もっといい苺」を探していることを「ふじのくにの旬を食べ尽くす会」の岩澤さんに相談したところ、牧之原市で営農する「森木農園」の「完熟収穫紅ほっぺ」を紹介された。早速現地へ赴き、ハウスを見学しながら森木社長に話を聞いた。今主流の高設栽培ではなく、大地の栄養を直接与える土坑栽培であること、お茶を肥料に使う有機中心の栽培であることや減農薬に努めていることを知り、思わず膝を打ったと言う。岩澤さんからは掛川市の「赤ずきんちゃんのおもしろ農園」も教えられ、その「完熟収穫紅ほっぺ」にも心が動いた。森木農園のものが年明けからの入荷のため、クリスマスシーズンはこちらを使う。いずれも「完熟収穫」なので農家直送なのは言うまでもない。
ケーキとまったく縁のない人生だった。それがある日、あるケーキを味わって、ケーキに目覚め、この道へ。あの瞬間の忘れられない感動と幸福感を、自分の作るケーキによって多くの人へ。「もっと美味しいケーキを」、「もっと安全安心なケーキを」、そして「もっと感動を与えられるケーキを」。苺を始めとするいくつかの静岡県産のこだわり食材は、吉野さんの「もっと」を叶える、なくてはならないものだ。
静岡食材を使った人気メニュー
完熟収穫のこだわり紅ほっぺを使ったイチゴのスペシャルタルトレット(12月中旬~5月中旬)、袋井クラウンメロンと厳選フルーツを使った日本のケーキ(定番)、完熟収穫こだわり紅ほっぺの日本のケーキ(12月中旬~5月中旬)、プチ・クグロフ・マーブル・フィナンシェ 藤枝岡部産抹茶の風味(定番)、サブレ・オ・抹茶 藤枝岡部産抹茶の香り(定番) など
この店で使っている静岡食材
有精卵(焼津市)、紅ほっぺ(牧之原市・掛川市)、クラウンメロン(袋井市)、黒いちじく(掛川市・静岡市清水区)、抹茶(藤枝市岡部) など
仕事人
吉野 一樹
メゾン・ド・パティスリー・ヨシノ
「メゾン・ド・パティスリー・ヨシノ」オーナーシェフ。焼津市出身。外資系コネクターメーカーに19年勤務後、この道へ転身。もともと甘党ではなかったが、静岡市のフランス料理店「アンテラス」のフランス菓子の美味しさに感銘を受け、目覚める。これをきっかけに同店のシェフに師事し、そのケーキ教室に4年間通い、アンテラスのディプロムを取得。さらに当時東京六本木にあったケーキ教室「ジャンポール・チェボー・クッキング・ステュディオ」にてジャンポール・チェボー氏に師事し、同教室のディプロムを取得。フランス菓子の技術だけでなく、その奥深さやフランス文化に傾倒する。2004年、41歳で「メゾン・ド・パティスリー・ヨシノ」をオープン。2009年現在地に移転。ケーキを始めとする唯一無二のフランス菓子で特別な感動を与えることを目指して2020年、店舗を大幅リニューアル。
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牧之原市「森木農園」の「完熟収穫紅ほっぺ」を抱える吉野さん。新しい食材情報を得ると生産農家へ自ら出向き、現物を確認して直接買い付けている。
「メゾン・ド・パティスリー・ヨシノ」は、焼津市「大畑シェーバー」の有精卵、袋井市の「クラウンメロン」、掛川市・静岡市清水区の「黒いちじく」、藤枝市岡部「薮崎園」の「抹茶」なども使っている。