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令和4年度ふじのくに食の都づくり仕事人受賞者のご紹介「加藤 順一さん」
世界中から多くの観光客が訪れる東京・銀座4丁目の交差点。クラシックな時計台は東京のアイコンでもある。その時計台を地上7階から見下ろす「ラルジャン」は世界トップクラスのレストランとして多くの美食家を唸らせる。
この店の特徴を一言で表すなら「既視感のない料理」だ。フレンチの技法に、食材を重視する和食の心得を加え、さらに北欧スタイルの芸術性も加味して、唯一無二の味覚体験を創出する。その上でシェフの加藤順一さんがこだわるのはストーリー性だ。例えば「フォアグラと掛川茶のテリーヌ」は、意表をつく食材の組み合わせでありながら、郷土・掛川への想いが綴られている。それは世界を渡り歩いてきた経験を生かしつつ、自らのアイデンティティと可能性を突き詰めた逸品だ。
常に「既視感のない料理」を求めてやってくるリピーターに対して、加藤さんはさらにその上を行く料理で応える。「それは大変なプレッシャーです。ただ、私は人を驚かせるのが好きなんです。子供の頃はマジシャンになりたかったくらいですから」と加藤さんは語る。
この店の料理で感じる新鮮な驚きには、イリュージョンのように眩い光がある。しかし、一方で食材本来の旨味が奏でる「あるがままの自然」という実在感もある。この不思議な食体験は、ここでしか味わえない世界トップクラスのエンターテインメントと言っていいだろう。
静岡食材を使った人気メニュー
発酵マッシュルーム
フォワグラと掛川茶のテリーヌ
(いずれもコース料理中の一品。単体の提供はなし)
この店で使っている静岡食材
マッシュルーム(富士)、静岡茶(掛川)、ニホンミツバチのハチミツ(藤枝)、きらぴ香(掛川)、ももかベリー(掛川)、赤レモン(藤枝)、金目鯛(稲取)、和紅茶貴婦人(掛川)、晩白柚などの柑橘類(掛川)

仕事人
加藤 順一
L’ARGENT
1982年、静岡県掛川市出身。辻調理師学校のフランス校を卒業後、「タテル・ヨシノ」(東京)、「オテル・ド・ヨシノ」(和歌山)を経て、パリの三つ星レストラン「アストランス」で肉部門を任される。その後、コペンハーゲンの「AOC」「レストランマーシャル」で北欧の調理スタイルを修得し、2015年に帰国、2020年に現店のシェフに就任した。フレンチをベースにしながらも、あるがままの自然を活かす北欧スタイルに、鮮やかな視覚的プレゼンテーションを加え、これまでにない料理の世界観を創出。その卓越した技術と感性は国内外の食通から注目を集めている。

発酵マッシュルーム

フォアグラと掛川茶のテリーヌ

スウィーツの盛り合わせ

店舗内観