トピックス
【平成28年度 仕事人受賞者のご紹介】稲葉 敏雄さん
創業1912 (大正元)年。すでに100年以上の歴史を持ち、長きにわたって静岡の寿司文化を牽引してきた「入船鮨本店」には歴代の“にぎりの名人”がいる。そんな名人芸を身近で学びながら、寿司職人として40年以上も研鑽を積んできたのが「入船鮨葵タワー店」の稲葉敏雄さんだ。稲葉さんのにぎりは、客がカウンター席に腰をおろした時から始まる。柔らかい物腰で客に希望を尋ね、しなやかな所作で寿司をにぎる。やがて現れるにぎりは美術品のように美しく、口にほおばると、しゃりがホロリとほどけてネタと絶妙に溶け合っていく。まさに名人だ。しかし、稲葉さんが継承しているのは技術だけではない。「お客さまとコミュニケーションをしっかりとり、その反応を見ながら一人ひとりにきめ細かく対応することが大切です」と稲葉さん。そこには技術と心意気で客の幸福感を導き出す寿司職人の気骨が垣間見える。これぞプロ中のプロ。にぎりの達人だ。
静岡食材を使った人気メニュー
静岡ちらし 1500円
季節のお勧めにぎり 2400円
桜えびのかき揚げ 400円
熱々玉子焼き 300円
この店で使っている静岡食材
生シラス(用宗、吉田)、サクラエビ(由比)、サバ(焼津)、アジ(由比、焼津)、タチウオ(焼津)、キンメダイ(下田)、タマゴ(静岡・美黄卵)

仕事人
稲葉 敏雄
入船鮨葵タワー店
1954(昭和29)年、栃木市生まれ。高校時代のアルバイトをきっかけに寿司職人を志す。高校卒業後、東京・神楽坂の寿司店で修業し、28歳の時に静岡市の「入船鮨本店」に入社。東京では出回らないセグロイワシやタチウオなどの地魚に魅せられ、以来同社一筋で寿司職人の道を極める。寿司文化の伝承を大切にしながら後進の育成にも取り組み、調理師学校「鈴木学園」で講師も務める。
> 仕事人の紹介ページはこちら
にぎりの一例。ネタは前列左からトリガイ、タチウオ、タコの桜煮、後列左からマグロ中トロ、サヨリ、アジ。

店内にはJ字型のカウンターとテーブル席がある。カウンターの内側で調理する稲葉さんの所作も流れるように美しい。